「俺の胃袋は今、何を食いたいんだろう……」
さまよう五郎さんは「和食亭」の看板に行き着く。駅前の商店街、おそらくは吞兵衛御用達の店が並ぶ中で、五郎さんの目はくぎ付けになった。「家庭料理、いいじゃないか」と即決で入店だ。
もう一人の悩める男
店に入るや否や大きな声が飛び込んできた。作業服を着た男は、電話口の相手に動揺を悟られぬよう、どうにか声を絞り出す。
「明日ですか!? ……大丈夫です、大丈夫です。何とかしますって」
五郎さんは気づいていないが、この男とはさっき一度すれ違っている。お気づきの方も多いと思うが、念のために見返しておこう。
- 観返しポイント:
- 5分40秒あたり(「Amazonプライム・ビデオ
」の場合)。
男はその時も電話中だった。相手が同じかどうかは分からないが、今度はどうも厄介な話のようだ。
メニューを眺める五郎さんの後ろに男の声が聞こえる。自分のところでは手に負えず、心当たりに声を掛けているらしい。男の前にはお銚子とつまみ。どうやら断られたらしく、苦々しい顔で酒をあおる。
しばらくして男の携帯が鳴った。しかしそれは断りの電話であった。肩を落とし、挨拶もそこそこに電話を切る男。こうなりゃヤケ酒だ。
- 作業服の男
- 「……兄ちゃん、酒くれる?」
- 店主
- 「熱燗とぬる燗、どちらにします?」
- 作業服の男
- 「あぁ……、冷」
明らかに動揺している。
悩みの晴れる和食亭
店内にはもう一人、いかにも新卒という青年がいる。寒空の下で慣れない外回り。そんなとき口にした「家庭料理」。思わず彼は声を上げる、「店長、サバの塩焼きうまいっす!」。店主もまた、「寒い中、ご苦労さんです」と優しく声を掛ける。
さて、煮魚定食を注文した五郎さん。しかし店主に前菜を聞かれて面食らった。選択肢の中に「シチュー」があるのだ。煮魚とシチュー。理由を聞くと、寒いからだと言う。五郎さんはその優しさに圧倒され、シチューを選んだ。
五郎さんがシチューで体を温め、新卒営業マンが笑顔で店を出た頃、作業服の男に電話が掛かってくる。相手は「ヨシダさん」だった。5人出せるという。男は神様仏様ヨシダ様と叫び、笑顔で熱燗を注文した。テーブルに並ぶ三つの酒。
出された煮魚を口に運び、五郎さんは思わず「うん」と声に出してうなづく。よく味が染みている、心に染みる味だ。ご飯をおかわりし、加速度を増してあっという間に平らげてしまった。
店を出て、寒風吹きすさぶ中を歩きだした五郎さん。そこに天啓が下りてくる。
「2九飛車成りで勝てたんじゃないか……?」
思えば、あの時は空腹で何も考えられなくなっていたのだった。空腹でさえなければ、勝てる才能はあるのだ。
新卒の営業マン、作業服の男、そして五郎さんを結果的に笑顔にした「和食亭」。さすがは家庭料理の店、店主の優しさが煮魚のように身に染みる。
※Amazonプライム・ビデオより引用
しかし五郎さん、馴染み客からの難題はまだ解決どころか考えてもいない様子だ。お腹が満たされたことで、こちらにも天啓が下りてくるのだろうか……。
▼ 原作の煮魚は病院食の「カレイの煮つけ」くらいかなぁ
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