Season4-1 東京都清瀬市のもやしと肉のピリ辛イタメ

前々回前回から続きで、Season4の第1話についてである。

繁盛店ということで店内はたくさんのお客さんで賑わっており、その一人一人を見ているだけでもかなり楽しい。しかしそれとは同列で語れない、強烈な個性を放っている人物がいる。誰あろうゲスト出演者の一人、ふせえりさんその人である。個人的に本エピソードはふせえりさんの演技を楽しむ回と言ってしまってもいいくらいだ。

「みゆき食堂」の女将さんを演じておられるふせえりさん(所属事務所のプロフィールはこちら)は、お笑いコンビ「ビシバシステム」として初期の頃の「水曜どうでしょう」にも出演されていた、女優でありコメディエンヌである。

これまで多くのテレビドラマや映画に出演され、その隠しきれない存在感でがっちり脇を固めてこられた。存在感の理由と言えば、コントで培われたと思われる細かなリアクションであろう。セリフのない場面でも、その手足や目の動きは常に主張している。それは小柄な体つきと相まって、せわしなく動く小動物を見ているようで何とも微笑ましく、目が離せない。

本エピソードでは、メニューのあまりの多さに内心圧倒されている「静の五郎」に対し、その周りをせわしなく飛び回る小鳥のようなふせえりさんの対比を楽しむことができる。この記事ではそんな二人の名勝負を紹介していきたい。

ふせえりvsお客さん

五郎さんとの対決を前に、まずはお客さん相手に軽く一番といこう。

観返しポイント:
10分20秒あたり(「Amazonプライム・ビデオ」の場合)。

二人連れの男性客がふせえりさんを呼ぶ。呼んだほうはさっさとオーダーを済ませるが、相方はこれから考えるような素振りで店内を見回すのだ。これには見ているこちらも「決めてから呼びなさいよ」となるが、ふせえりさんも当然同じ心境である。しかしそれを顔には出さない。いや、出す。かなり出てしまっている。最初はオーダーしたほうのお客さんと談笑して誤魔化すが、迷っているほうをペンで指差すなど、実は容赦がない。そこの絶妙さが見事だ。

Season4-1 東京都清瀬市のもやしと肉のピリ辛イタメ

Amazonプライム・ビデオより引用

男性の背中から目をそらさず、無言の圧力を与えるふせえりさん。途中、表情が険しくなる瞬間があるのを見逃してはいけない。時は金なり、忙しい店では客の側も店のペースに合わせる用意が要求される。

客はなんとか(しかしやや適当に)オーダーを決めた。それを「でかした!」とばかりにオーバーなリアクションで受けるふせえりさん。ちょっと小馬鹿にしているようにも見えなくはないが、ここはそういう間柄の常連なんだと解釈しておこう。

ふせえりvsお客さん 第二ラウンド

続いての勝負もやはりお客さんが相手だ。しかし、最後にふせえりさんから五郎さんへの挑発的な一撃が繰り出される。

その前に、準備運動とばかりによく分からない動きをするふせえりさんを見逃してはいけない。画面奥だが、お気づきだろうか。

観返しポイント:
13分20秒あたり(「Amazonプライム・ビデオ」の場合)。

どうだろう。トレーを拭くにしたって、ふきんを裏返すにしたって、どう見てもオーバーアクションだ。まさか実際の女将さんの物まねでもないだろう。こんな動きをする女将さんは、そっちでちょっとした有名人になってしまう。ふせえりさん、昔取ったコントの杵柄をうっかり見せてしまったかもしれない。

さて、画面手前の色黒のお客さんに呼ばれて注文を取りに行くふせえりさんである。
「ナポリタンと、ハムソテー」との注文を元気よく繰り返す。その直後、すぐ隣に立っている(デカい)五郎さんを見上げるのだが、この細かい動きがまた素晴らしい。「この人は注文した?してない?注文するの?しないの?」といった心の動きが1~2秒の間に詰まっている。

観返しポイント:
13分30秒あたり(「Amazonプライム・ビデオ」の場合)。

五郎さんを見上げ、すぐに視線を外す動き。そして細かく右往左往する手元のメモ。細かい。実に細かい。それでいてオーバーアクションな、この匙加減。

これは完全に五郎さんへの挑発行為だ。忙しいランチタイムに優柔不断な(デカい)男を煽る行為だ。

しかしこの動きは完全にスルーされてしまった。五郎さんはふせえりさんを見ることもなく、「スパゲティー田舎、頼んで欲しかったなぁ……」などと他人の注文にケチをつけている。これには、さすがのふせえりさんも一度リングの外へ出るしかない。ここは五郎さんの不戦勝というところだろう。

第三戦、いよいよ直接対決

二人組の女性が店に入ってきたところで、五郎さんも慌て始める。
しかし店に入って以降、案外広い店内や多すぎるメニュー、そしてそのいちいち突っ込みたくなる内容に翻弄され、五郎さんはすでにグロッキー気味。

五郎さん
「広い!この店、やはり只者ではないぞ」
五郎さん
「この押し寄せる品数はどうだ、表のメニューなんて氷山の一角だ……」
五郎さん
「いかん、店の雰囲気に飲まれるな。落ち着いて、打つべきボールを見極めるのだ」
五郎さん
「しっかし、多いなぁ……」
五郎さん
「早く決めないと、じりじり体力を奪われて思考停止になりそうだ。」
五郎さん
「いかん、遊ばれている。集中だ。」
五郎さん
「何やってんだ俺は。このままではまた先を越されてしまう……」

五郎さんは、まるでビジター球場で打席に立ったバッターのようだ。応援席は見渡す限り相手チームのファンで埋め尽くされ、マウンドには七色の変化球を操るふせえり投手がいる。

そしていよいよ五郎さんが手を挙げる。駆けつけるふせえりさん。しかし意外にも注文は淡々と告げられた。立て板に水のごとく、迷いがない。ふせえりさんも背中しか映らず、表情の演技が見えないのが「あっけなさ」に拍車をかける。

注目の直接対決は肩透かしのように終わってしまった。

しかし、五郎さんとしてはかなりの難産だったらしい。

五郎さん
「やれやれ、なんとかバットに当てて塁に出たって感じだ……」

疲労困憊の五郎さん。再び席に着くや否や水を飲み干し、今更ながらに注文を振り返る。「ジャンボぎょうざのハーフ」を「多いのか少ないのか。プラスマイナスゼロ」なんて呟いてるあたり、行き当たりばったりだったのかもしれない。

とは言え、バッター五郎vsふせえり投手の対決は、クセ球に苦しみながらも涼しい顔で当てて見せた五郎さんの勝利だろうか。最後は「想像を超えた店だった」なんて賞賛しながら店を後にするのだから、よほどの名勝負だったのだろう。

ちなみに注文した後は五郎さんとふせえりさんとの絡みも淡々としたもので、それほど見るべきものはない。ただ、ふせえりさんの方で見逃せないシーンがひとつある。料理を提供した後で、ご飯が多いと突き返される場面だ。

Season4-1 東京都清瀬市のもやしと肉のピリ辛イタメ

Amazonプライム・ビデオより引用

この後、イラっとする気持ちを隠して(隠せてない)対応するふせえりさんをじっくりと楽しみたい。

このエピソードでは、ふせえりさんの良い意味で無駄な動きを十分に堪能することができる。
ふせえりさんの起用には、本物の女将さんに雰囲気がよく似ているということもあっただろうが(「ふらっとQUSUMI」参照)、女将さんご本人とは別のキャラクターを創り出すことにも成功したのではないだろうか。

壁一面の豊富すぎるメニュー、二台のテレビ、個性的なお客さんの面々に、ふせえりさんの細かな演技。Season4の開幕は、当時の勢いを見せつけるかのように情報が怒涛のごとく押し寄せる。何度見ても楽しめる、「孤独のグルメ」らしい深みのあるエピソードだ。

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